研修医日記用語集
IVH(あいぶいえいち)
「中心静脈栄養の略」
危険な薬品の点滴だったり、濃度の濃い点滴をシタリするときのルートの一つ。
首、鎖骨、鼠経、肘が代表的な場所。
普通に点滴のルートをとるのと違い危険を伴う。
(鎖骨だと気胸、肺に穴をあける可能性もある)
研修医が一人でスムーズに入れられるようにならないといけな手技の一つ。
IVHが一回で入ったときは非常に気分がいいのも事実。
しかし、そううまくいくことはめずらしく、汗だくになって行う手技である。
赤玉(あかだま)
「内視鏡検査中、画面が真っ赤になること」
カメラのレンズが粘膜に近づきすぎ(ぶつかって)のために起こる現象。
どっちいったらいいのか、さっぱりわからないときはおとなしく少しひ くことが大切。
むやみに推し進めると穿孔の原因となる。
apple core sign(アップルコアサイン)
「造影検査の所見の一つ、大腸癌に特徴的」
進行大腸は横軸にそって、ぐるっと全周性に発育するためレントゲンで見ると
その部分が細くなったようにみえ、まるでりんごをかじった後の芯のように見えること。
検査中、これが発見されると一瞬手が止まる。
あ、「大腸癌!」と心の中で叫んでしまうものである。
しかし、そこにばかり気をとられるのもよくない。
つねに全体を見渡して検査を続けないといけない。
アナムネ
「問診からはじまる病歴聴取」
患者さんが入院だろうが外来だろうが診察の基本はこの問診からスタートする。
これである程度の方向性や必要な検査などをしぼっていくのである。
入院の場合ははじめに全部を聞き出すので� ��なく、徐々に新しい発見もするのであるが、
外来はそうはいかない。
しかし、新しい発見が他の医者や看護婦さんから出てきたときは、ちょっと悔しい。
アルブミン
「蛋白製剤の一種。肝臓が悪くなるとこの蛋白質の産生が落ちる」
低くなるとどうなるかというと、腹水がたまりやすくなったり足が腫れたりするのである。
血管の中に水分を引き込む作用があるので、これが低くなるといたらぬところに水がしみ出るのである。
肝硬変の末期の人なんかがお腹がぱんぱんになるのはアルブミンが低下し、
腹水が大量にたまったことが一因である。
で、これを外部から補ってあげようと言うことでアルブミン製剤というのがある。
保険診療的には県によっても違うが、一月に保険 で認められるのは6本くらいである。
投与するときは2本ずつを3日間でいくことが多い。
そのためアルブミンを投与できるのは月に1回といった感じである。
そのため月末になるとあわてて「今月分のアルブミン請求しとけ!!」みたいなことになる。
今月使えるものは今月中にということである。
アンビュー
「患者さんに空気を送り込むバック」
うまく空気を送り込むにはコツがいる。
しっかりとあごを固定、密着させてソフトに押す。
むやみやたらにばんばんと入れればいいというものでもない。
あまりにも速いスピードではうまく換気ができない。
たしかに二酸化炭素をとばすときははやくする。
遅すぎてもいいわけでもない。
しかし、たいてい初心者は力の限りバックを押� �、
できるかぎりはやくたくさん押すものである。
胃管(いかん)
「鼻から少し太めのストローを胃の中に入れて胃の中を洗ったりお薬を入れたりする道具」
Sチューブとかマーゲンチューブなどとも言われる。
鼻から喉をつたって入れていくのであるが、当然患者さんの「嘔吐反射(おえええってやつ)」の抵抗にある。
そして、そのおかげでどんどん入っているようにみえて口の中でとぐろを巻いていたり、
食道の中でUターンしていたりとか言うことがある。
とくにうちの科では潰瘍からの出血、静脈瘤の破裂の患者さんをみることがおおく、
この手技は研修医が最初にマスターしないといけない重要な手技の一つである。
「じゃあ、胃をあらっといて」と、オーベンに言われるよ� ��ではいけない。
「洗ったところ、コアグラ(血液の固まり)が引けました」と言えるようになると一人前である。
医局会(いきょくかい)
「医局のいろいろな決定事項を決める重要な会議」
大学に残っている先生だけでなく、関連病院に出ている先生も参加。
春先だと医局長選挙などがある。
一年間の方針とかも決まっていくのである。
教授に意見ができる重要な場所のひとつでもある。
医局旅行(いきょくりょこう)
「医局一同の旅行」
要するに社員旅行である。
だいたい、ここで一年目の先生のお披露目があったりする。
どこぞのホテルや旅館などを貸し切ってすることが多いが、
日頃よほどストレスがたまっているのか、飲み会は修羅場と化することが� �い。
しかし、なぜみんな脱ぎたがるのだろうか?
よほど抑圧された何かがあるのだろうか??
医師国家試験(いしこっかしけん)
「医師になるために必要な最終関門」
毎年3月の終わりくらいに3日間行われる。
マークシートのみで550題を回答する。
しかし、そのうちの50題はダミー問題で、点数にはならない。
そして、ある種の問題では80%以上の回答率がないとそれだけで不合格になるところがある。
現行では筆記試験のみであるが、近いうち実技試験も導入されるらしい。
厚生労働省のよくわからない思惑で大変困らせられる試験である。
最近の合格率は90%といわれるが、毎年「今年は80%くらいでしょう」という憶測も飛び交う。
終わってしまえばなんてことのない試験� �あるが、結果が出るまでは非常に恐い。
そして、実際の医療とはかけ離れた問題が多いのが一番の問題点であろう。
一泊肝生検(いっぱくかんせいけん)
「入院したその日に肝生検を行い、問題なければ次の日に退院となる検査目的入院」
非常に効率的であるが、主治医の負担が猛烈にかかる検査入院。
10時過ぎに入院してきた患者さんは、そのまま胸のレントゲンや心電図、血液検査にまわる。
その後、11時過ぎくらいから検査についてのインフォームドコンセント。
(本来、これは外来で行っておくべきことである)
そして、お昼過ぎの2時くらいから実際に生検。
5時過ぎまで安静。
そして、次の日採血、胸のレントゲンなどをとり特に異常がなければ退院。
生検の結果を2週間後� �外来に聞きに来るという一連の行事。
この間、主治医はこの患者さんにつきっきりになるわけで(しかも、一泊しかしないので余裕がない)
他の受け持ちの患者さんのことがおろそかになる。
当然、サマリーもきちんと書く。
その割には勉強になることが多くない。
なかなか苦労が報われない検査入院。
インターフェロン
「抗炎症作用、抗ウイルス作用など様々な作用をもつ生体内物質」
消化器内科の領域では主にC型肝炎ウイルスの治療薬として使われる。
急性肝炎発症時期に使用すればウイルス駆除率はほぼ100%であるが、
慢性肝炎だと格段に率は下がるが、肝硬変への進展・肝癌の発生率を有意に低下させる。
様々なタイプのインターフェロンの開発と抗ウイルス薬との併用が 今後期待される分野である。
主な副作用としてインフルエンザ症状(発熱、全身倦怠感、関節痛)、抑鬱状態、間質性肺炎など。
PEG(ぺぐ)インターフェロンとはインターフェロンの一種で、細工をすることで
一週間効果が持続するように作られたもの。
インフォームドコンセント
「医療行為に対する十分な説明を聞いた上で患者さんが選択すること」
ICと略する。もしくは、昔の言い方をひきずり「ムンテラ」という。
ICとムンテラは違うものである。
癌の告知をして抗癌剤の治療をすすめる、もし、治療しなかったらどうだとか・・・
そういったこともICに含まれる。
ムンテラは説明はするものの患者さんにほぼ選択権はないのである。
強制に近い話の持っていきかたをする。
� �者側が患者さんにすすめる治療法がその人にとってベストとはかぎらない。
やはり、医者は自分が選んで欲しい治療法を熱心にすすめるからである。
それが患者さんにとってはたして幸せかは謎である。
最終決定権は患者さんにある、これが大切なことではないのか。
N君(えぬくん)
「部活の同級生。呼吸器内科に入局」
韓国旅行の時は半袖できたりした彼である。
ちなみに実際の生活でも「えぬ」とよばれたりしている。
とことんついていない彼。
この先、どんな人生を歩むのだろうか。
炎症性腸疾患(えんしょうせいちょうしっかん)
「お腹の中で炎症が続く疾患群」
クローン病や潰瘍性大腸炎に代表される病気。
血便や下痢、発熱などが主な症状。
� ��のほとんどが原因は明らかとなっていない。
日本では年々増加中でアメリカなどではよくみる病気である。
原因が明らかになっておらず、いろいろな治療法が試みられている。
比較的若者に多い病気である。
大物(おおもの)
「緊急の処置や生命の危険のある患者」
いわゆる「急患」のことを指す。
その中でも急性心筋梗塞であったり静脈瘤吐血であったり、
とても重症の人のことをこういう。
このとき大事なことは人手をできるだけ集めると言うことである。
オーベン
「指導医」
研修医の指導をする直属の先生。
科によっては患者さん毎にオーベンがついたり、
研修医毎についたりする。ライターというところもある。
逆に研修医のことをノイ� �レンといったり、コベンといったりする。
オーベン、ノイヘレンはドイツ語であるが、
コベンはオー→大、コ→小といったような言葉の遊びから来たようなものである。
困ったことがあるとまず泣きつく先はオーベンである。
悪寒戦慄(おかんせんりつ)
「発熱のためにおこる症状の一つ」
悪寒は「ぞくぞくする寒気」であり、戦慄は「がたがたとしたふるえ」である。
40度の発熱では当然見られることが多い。
しかし、熱が出たからといって必ずしも出るようなものでもない。
ただ、目の前でがたがた震える患者さんをみるとこちらもふるえてしまいそうになる。
オンコール
「緊急呼び出しに備えて待機中」
普段は全館当直の先生が急患の患者など� �処置に当たるが、
より専門性が必要になった場合、その科の先生が呼ばれたりする。
各科の先生同士で順番でまわしてオンコール態勢をとる。
基本的にオンコールの時は病院の近くにいて、お酒は飲んでは行けないことになっている(らしい)。
カウンターショック
「電気的除細動」
ERで「先生、脈が止まっています!」「なに!!カウンターショックの準備。はい、さがって。ばあああん!!」
ってやるやつである。心室細動や心房細動といって実質的には心停止の状態を立ち治せるツール。
救急車にはもちろん飛行機の中や駅などに緊急事態の時のために備えられている。
確率的影響(かくりつてきえいきょう)
「被爆をする量に比例して副作用が出てくる可能性(確率)が増� ��する」
放射線用語の一つ。
これだけの量を被爆したら必ずなるというものではない。ならない確率もあるわけだ。
ただ、被爆をするとその危険性がアップするのは間違いない。
そして、この確率影響的副作用は被爆が少ないときに発生した影響も、
被爆量が多いときに発生した影響もその症状には全く違いはない。
確率的影響の中には発癌と(白血病を含む)と遺伝的影響がある。
つまりのところ遺伝子、DNAに何らかの傷が放射線で付くと言うことを意味している。
カルチ
「carcinoma、癌腫のこと」
臨床でよく使われる言葉。
回診などのときに使われる。
「この患者さんは胃のカルチでステージWです」など。
カル酎(かるちゅう)
「カルピスの酎ハイ」
のことであるが、普通においていると思っていましたが・・・
関東のほうのお店では見ません。
「カル酎3杯ください」
といって、お店の人にきょとんとされました。
九州だけのもんでしょうか?
ちなみに鹿児島では「お酒を下さい」と注文すると
焼酎が出てきます。
肝細胞癌(かんさいぼうがん)
「主にB、C型慢性肝炎、肝硬変を背景に発生してくる癌」
英語でhepatocellular carcinoma、略してHCC。
日本は世界でも有数のC型肝炎の一大発症地域である。
特に西日本の福岡・佐賀を中心に多い。
他の臓器の癌と違いhigh risk group(危険度が高い人たち)を絞り込みしやすく、早期発見が重要。
現在は様々な治療の組み合わせ(PEIT、TAE、HAIなど)で治療を行っている。
肝腫瘍生検(かんしゅようせいけん)
「肝臓腫瘍疑いのところをめがけて確定診断のため生検してくること」
肝硬変の患者さんをエコーやCTをとっていると腫瘍のようなものがみえてくる。
本当に腫瘍(癌)なのかエコーなどでそう見えるだけなのかなど曖昧なところが多い。
白黒はっきりさせるために、実際に針を刺して一部をとってきて顕微鏡で見る検査。
陰圧をかけながら採取するので"aspiration biopsy"とも言う。
肝性脳症(かんせいのうしょう)
「肝硬変などで肝機能がひどく落ちが場合にでる意識障害」
5ヶ月の古いを与えるためにどのくらいのタイレノール
それぞれ段階において特有の症状を示す。
原因は肝機能に伴うアンモニアの上昇といわれている。
初期は昼夜逆転(昼間眠ってよる騒ぐ)、手足の震えなど。
末期になると意識が消失し昏睡状態となる。
肝動脈塞栓療法(かんどうみゃくそくせんりょうほう)
「血管造影を用いた肝癌の治療の一つ」
transcatheter arterial embolization、略してTAE。
血管造影をして癌近くの目的の血管までカテーテルを挿入後、抗癌剤を流し込み、
スポンジを流し込んでしまい、癌を密封、兵糧攻めにする治療。
比較的古くから行われている治療で、術者の腕によってかなりの成績にばらつきがある。
肝庇護療法(かんひごりょうほう)
「肝機能異常を改善するような治療法」
食事療法、注射、飲み薬・・・ありとあらゆる手段を使って肝臓を休める治療。
肝臓の悪い人が週に2日も3日も病院で注射をするのはこのためである。
将来的に肝硬変に進展するのを予防するのに加えて発癌を抑える効果もある。
キープ
「確保しておく」
状態が非常に落ち着いていて、手のかからない患者さんのことを指す。
� �かけ上は患者さんがひとりいるように見える。
重症が一人だろうが、軽症が一人だろうが一人は一人である。
患者さんがあたるのはだいたい、人数を平等にという感じであたるのでこれは重要である。
九山(きゅうやま)
「九州山口医科学生体育大会の略」
毎年ゴールデンウィークに行われる体育会系の大会。
医学部(医学科、看護学科など)の運動部にとっては大きな大会の一つ。
弓道の大会だとだいたい300人前後か。
各大学との交流を深める大事な飲み会の場所でもある。
この大会を利用すると6年間で九州各地をまわれることにもなる。
しかし、連休中とかさなるために中には不満に思う学生も多い。
QOL(きゅーおーえる)
「quality of lifeの略」
生命の質とか生活の質などと訳されるが、適当な訳がないためそのままQOLと使われる。
末期癌の患者さんとか終末期の人がただ延命だけの治療を望まないで
尊厳をもった死に方を選択するようにすることや癌による疼痛コントロールなどを
表すことが元々のこと概念だった。
例 末期胃癌でむりな胃の全的手術をすすめる
→予後がそんなに長くないのに胃をとることで食べることをうばったりする(QOLを下げる)
癌による疼痛に対してモルヒネを使う
→痛みは生活に支障をきたすためにこれを抑えることは重要(QOLを上げる)
拡大解釈し働く人のQOLを言うこともある。
例 内科の研修医は当直などが多い→自分の生活はままならぬ(QOLが低い)
教授回診(きょうじゅかいしん)
「大学病院ならではの光景」
よく大名行列とたとえられるが、うちの大学の場合そんなにゆっくりとまわらない。
どの科の先生も、けっこうなスピードでまわっていく。
あ、助教授がついて行ったりもしない。
講師の先生もチラホラである。
どちらかというと学生さんの為の教育の現場となっていたりする。
先頭に教授と病棟医長が立ち、
そのまわりを学生さんが5〜15人くらいが囲むのである。
ということで研� ��医はこそこそと自分の仕事をしたりする。
あまり仕事に熱中しすぎて回診のときにベッドサイドにいなかったりすると大目玉である。
ベッドサイドでのプレゼンテーション能力がものをいう。
急性B型肝炎(きゅうせいびーがたかんえん)
「急性肝炎の中でB型肝炎ウイルスが原因で起きたもの」
ほとんどは症状のでない不顕性感染だがまれに黄疸や肝機能異常などを
しめす、急性肝炎となることがある。さらにB型の場合「劇症化」する可能性がある。
劇症肝炎とは・・・・
「肝炎のうち症状発現後8週間以内に肝性脳症U度以上、プロトロンビン時間(PT)40%以下を示すもの」
である。
劇症化するときわめて救命率が悪く(死亡率が高く)注意が必要である。
禁忌(きんき)
「やってはいけないこと」
タブーなこと。
薬の場合だと処方をしてはいけない場合のことを言うが、
医学生の「禁忌」と言えば「禁忌肢問題」のことを指す。
国家試験はマークシート形式で5つの選択肢から一つ選んだり二つ選んだりする。
その選択肢の中に 医者としてはやってはいけないこと、言ってはいけないこと
(道徳に反するようなことを含め)してはいけない治療法、検査などがちりばめられている。
これが「禁忌肢」がである。
あやまって、これにマークをすると足きりの対象となる。
おおむね550問中、この禁忌肢を2か3問踏むとそれだけで他がどんなに満点でも不合格になるのだ。
有名なところでは「うつ病の人を励ます→禁忌」など。
しかし、実際のところ禁忌肢を踏みすぎて不合格になったという話は聞かないのだが。
筋性防御(きんせいぼうぎょ)
「腹膜刺激症状のひとつ」
muscular defenceという。通称でふぁんす。
虫垂炎などで炎症が腹膜に波及すると腹壁筋肉の反射性緊張が起こり
筋肉を抵抗(硬く)触知する。ほとんどの場合、緊急手術の適応となる。
そのため、外科腹(げかばら)ともいうことがある。
くも膜下出血
「脳脊髄液が流れるくも膜下腔に出血し、広がった状態」
英語でsubarachnoid hemorrhage、略してSAH。
臨床の現場ではこれをドイツ語読みして「ざー」と発音する。
70〜80%は脳動脈瘤からの破裂であるが、それ以外の原因もある。
24時間以内に再破裂をするとかなりまずいので早急な対応が求められる。
CTで診断がつくことが多い。
クリニカル・パス
「ある検査・治療などを効率よくすすめていくように作成されるマニュアルみたいなもの」
クリティカル・パスともいう。
元々は工場などの流れ作業で効率や無駄を省いたり、
見落としをなくすためによく使われるものを医学的に応用したもの。
たとえば、肝生検の検査入院。
これはだいたい一泊二日で行われることが多いが、
それをその医者どの医者ごとにいろいろオーダーしていたらとてもたまらん。
そこで、検査前にチェックしておくこと、輸液の準備、観察項目など
見落としがないように、かつ効率がよくなるように作成される表みたいなものである。
よくある検査・治療入院もそうだが、めったにないような検査入院でも役に立つ。
「あれ?この検査の時なにがいるんだっけ?」
などと、あれこれ考えていると必ずと言っていいほど見落としが出てくるのである。
パスの弊害として「マニュアル化」されることで「考えない」スタッフが増える。
これはどの世界でも共通。「マニュアル化」の弊害はどこにでもある。
傾聴(けいちょう)
「相手の話に耳を傾けること」
決して発現を否定しない、うんうんとうなずくこと。
これがとても大事なことである。
否定されると、間違い� �く火に油を注ぐこととなる。
さんざんしゃべりまくった人はそれだけで落ち着くものである。
経皮経肝胆管ドレナージ(けいひけいかんたんかんどれなーじ)
「総胆管結石、閉塞性黄疸の診断と治療を兼ねた手技の一つ」
percutaneous transheptatic cholangio drainage、略してPTCD。
胆石が詰まったり、何らかの原因で胆汁の排泄が悪くなると黄疸を伴った熱が出る。
腸内細菌叢などからの逆行性感染が一番疑われ、治療(排液)と診断を兼ねて緊急に行うことが多い。
一人でも可能であれば、できれば二人でするのがよい。
お年寄りの場合だとチューブが入っているのをすっかり忘れたり、
思わず引き抜いてしまったりとなにかとトラブルの多い手技の一つである。
血液ガス(けつえきがす)
「動脈中の酸素濃度や二酸化炭素濃度などをしらべること」
急変して呼吸状態が悪くなったりした患者さんに「血ガスとって!」といわれる。
これで体の状態がある程度分かる。
ほとんどの場合は足の付け根の大腿動脈という血管をねらって採取する。
これによってわかるのは酸素濃度、二酸化炭素濃度、pH、電解質などなど・・・
かなりのことがえられるが、絶望的な気分になることもある。
血液培養(けつえきばいよう)
「血液中に細菌がいないかどうかを調べる検査」
入院中の患者さんで発熱の報告があると(特に化学療法中の患者さん)
「血倍、エンドトキシン、β-Dグルカン!!」と叫ぶ。
体の抵抗力が落ちた患者さんでは「敗血症」といって体中にばい菌が飛び散ることがある。
それを調べる検査なんだが、結果が出るまで3日くらいはかかる。
よく教科書には
「培養の結果をもって適切な抗生物質を選択すること」
となっているが、そんな結果を待っていたらアウトだ。
さっさと、(オーベンの)経験と勘で抗生剤とかの 治療を開始する。
また、
「血液培養は2回以上行うと陽性率があがる」
とも書いているが、おいおい、そんなの保険で通るのか?
これが教科書と臨床の違いなんだと思い知らされる瞬間である。
血管確保(けっかんかくほ)
「点滴や薬剤を投入するために静脈の中に針をいれておくこと」
「ルートとって!」「確保!!」「点滴入れて!!!」は同じ意味である。
主に手の静脈をねらって行われるが、足などの血管にも行われる。
研修医にとっては日常もっともよく行う手技のひとつ。
なれない研修医にあたった患者さんにとっては非常に苦痛な瞬間。
上級者が行うとほとんど一瞬にして確保することが可能であるが、
初心者では何度も針を刺してしまい、患者さんを恐怖� �に陥らせ不信感を募らせる原因となる。
血管造影(けっかんぞうえい)
「診断や治療のために主に動脈に管をさして血管の走行などをみる検査」
英語でangiographyというため、「アンギオ」と通称呼ばれる。
透視下で血管走行を確認したり、病変の部位を検査したりする。
その後、治療を追加することもある。
ちなみに肝臓癌に対する診断・治療のために血管造影がしめるウェートはかなりある。
ただし、検査する人は放射線にたくさん暴露し被爆する。
終わる頃にはぐったりとするのがこの検査の特徴。
ちなみに、アンギオ班のお子様はかなりの確率で女児である。
KUB(けーゆーびー)
「腹部単純X線写真」
正確には「kidney bladder and ulater」であるが略して「腹単」というが厳密には違う。
きちんと骨盤まで写るように撮影するのがKUBである。
ちなみにイレウスの診断には立位(立って)の撮影が欠かせない。
検食(けんしょく)
「病院食を食べて、評価すること」
朝や昼、晩の食事それぞれ誰かが検食をして検食簿なるものに記入する。
得てして病院食はおいしくないという評判がもっぱらな噂ではあるが、
中にはすごくおいしい病院もある。
味がどう、量がどう、見た目がどう、温度がどうなどいろいろ評価項目がある。
たいていの病院では当直医が検食を行うことが多い。
当然、出張先や当直先の病院での検食もある。
健診(けんしん)
「健康診断の略。毎年行われる」
健診 や検診は毎年4月から順次各地、会社などで行われる。
これは法律で「いつまでに、何歳の人はこういう検診をしなさい」というのが決まっている。
そこで、医者による診察があってそこに狩り出されるのは当然、研修医である。
(もしくは産業医の先生はこれらの検診をはじめ、予防医学的な専門家です)
検診のときに25,6くらいの若い医者がいればそれは、間違いなく研修医である。
ほとんど正常な人たちで、正常な心音や呼吸音、身体所見をみれる有効な場なのである。
ちなみにバイト料の相場は時給1万円と換算して、ほぼ間違いない。
高額バイトなのである。
抗生物質(こうせいぶっしつ)
「細菌感染用の薬」
ペニシリン以来、細菌とのいたちごっこが続いている分野のお薬。
ものすごい数の抗生物質が存在するが、乱用のせいでその耐性菌が問題となっている。
強い抗生物質を使えばそりゃいいんだろうけど、耐性菌つくってしまいます。
この菌だろうと想定して、必要最低限で攻めるのが内科医としての腕の見せ所である。
国家試験用の予備校
「医師国家試験用の予備校」
けっこうあるのである。
医師国家試験の受験生は毎年1万人弱。
大学受験の予備校同様、夏期講習なんかもあったりする。
しかし、びっくりするのはその値段である。
たとえばうちの大学にちょくちょくくる先生は
一つの講義、内科の循環器を土日の二日で東京から教えに来るとなると
だいたい200万くらいかかるらしい。
まあ、ひとり2万としたらそれくらいになるのか・� ��・
コベン
「研修医の別称、隠語」
ノイヘレンとかフレッシュマンとか色々言われるが、
オーベンに対しての反対語としてコベンといわれる。
責任能力をまるで持たない戦闘員のようなもの。
危険きわまりない、目の離せない存在である。
サチュレーション
「末梢血の酸素飽和度」
末梢の組織にどれだけ酸素がいっているか、それがとても大事。
指先に赤く光る装置をつけて測定する。
普通の状態だと97〜100%と表示される。
これが95%を切った頃からだんだん焦ってくる。
そして、90%を切るととてもあわて、85%をきるともっとあわてる。
看護婦さんの報告を聞くたびにドキッとする瞬間でもある。
サマリー
「患者さんの経過のまとめ」
ときに子供たちはヘルパンギナと保育園に戻ることができます。
週間サマリー、月間サマリーからはじまり・・・研修医を一番悩ませるのは"退院サマリー"である。
これをきちんと書かないと資料係のお姉さんから白い目でみられ、信用をなくす。
出し遅れに対する罰則が科によって様々なのも興味深い項目のひとつ。
罰金制であったり罰当直制であったりといろいろである。
指示だし(しじだし)
「患者さんの病態にあわせて必要な処置を医療スタッフに伝えておくこと」
伝える相手は主に看護婦さんである。
「Aさんが38℃の熱が出たら、血液培養とエンドトキシンを出してください」などの具体的な指示である。
眠れないときはこ� �お薬、便秘の時はこの薬など。
あとは逆に看護婦さんの方から「これはどうします?」という質問にこたえることも。
これをおこたるとひっきりなしにポケベルが鳴る。
指示出しで看護婦さんの機嫌を損ねると・・・
CPC(しーぴーしー)
「Clinico-Pathological Conferenceの略」
病理検査を含めたいろんな検査やデータを元に患者さんの病態整理や診断を
推測していく症例検討会のようなもの。
目的は病名当てではなく、考え方の過程などを身につけていくもの。
「この患者さんではこういった症状がみられますが・・・赤先生どうお考えですか?」
「あ、はい、ええっと、性・年齢・発症様式などを考えられると一番に○×、二番に●□
が考えやすいと思います。それを鑑別するためにほにゃらかの検査をしてはいかがでしょうか?」
といったことをえんえんと話し合う。
与えられた検査データからのみ推測していったりするのを「Reversed CPC」ともいう。
JCS(じぇいしーえす)
「Japan coma scaleの略」
意識レベルの評価に使われる。
数字が小さい方が状態はよい。
主に覚醒を指標に評価する。
1ケタ→よしよし
2ケタ→うん?
3ケタ→いかん、いかん
といった感じにとらえられる。
シビア
「とても深刻に、という意味」
英語の「sever」からきているものと思われるが、病状や経過説明のときに使われる。
先があやうかったり、検査結果が思わしくなかったりするときはある程度ひどめに言うことが多い。
そういうとき「今日はシビアにいくぞ」と、オーベンの先生がいったりするのである。
やはりいい結果を聞いていて悪くなるよりも、悪い悪いと言われてなんとかよくなった方が安心する。
「だめで元々」のようなことを期待することもある。
� ��腸間膜動脈(じょうちょうかんまくどうみゃく)
「腹腔動脈の下から分岐して十二指腸から横行結腸まで栄養する血管」
superior mesenteric artery、略してSMAという。
SMAからの血液はやがて門脈となって肝臓に入ってくる。
肝臓癌の病期診断のためには必要な情報となる。
抄読会(しょうどくかい)
「一つのテーマについて掘り下げた勉強会」
たいていは論文を奥深く読んで、解説をすることが中心。
なぜかこういう論文は英語であることがほとんどであるが、
それを日本語で説明しないといけないので大変である。
英語は英語として理解した方が早いと思うのだが。
こうやって説明しないといけないから面倒くさいのになっと思うのであるが。
さて、私の所属する医局でかつてこの抄読会をすっぽぬかしたのが3人いるらしい。
一人は今の主任教授。もう一人はPEITの神様と呼ばれる達人。
そして、もう一人 。
このもう一人の先生曰く「抄読会をすっぽぬかしたら偉くなれるぞ」
ということ。ううん、かなりの確率で有名になれるらしい。
ステルベン
「ドイツ語でSterben、死亡のことを意味する」
いわゆる業界用語みたいなもの。
廊下やエレベーターの中で話すときに「亡くなった」だの「死んだ」だの
そういう言葉を使うのはよろしくない。
そう言うときに使うことが多い。
「疲れているみたいだけど大丈夫?」
「大丈夫です。昨日ステルベンで夜中けっこう大変だったんですけど」
「ステッたんだ・・・ご苦労様」
と言った風に動詞としても使われることが多い。
生検(せいけん)
「臓器の一部をとってきて顕微鏡でみて病理診断をすること」
医学の最終 診断は病理診断である。
たとえ、症状がどうであれ、病名は病理診断が絶対なのである。
で、診断をはっきりさせるためにいろんなところで生検が行われる。
方法は臓器によって様々であるが、針で刺してもらってくることが多い。
臓器に針を刺すわけだから、合併症というのも当然ある。
精神科の病院R
「200〜300床ほどの規模の精神科の病院」
5つの病棟からなるこの病院。
ありとあらゆる精神疾患の患者さんが入院している。
私の所属する医局の研修医のおもなネーベン、日勤先の一つ。
この病院では内科医が不在のため、内科的なことはすべて任される。
大学で上の先生の指示をもらいながらと違い、その責任はすべて自分と言うことを
実感する最初の場の一つである。
当直室はきれいで居心地はよい。
元々、精神科系の病院は内科のネーベン先としてはよくあり、
そのほとんどが「寝当直」のはずである。
この病院も元々は寝当直といわれる部分にはいるのであるが、
最近はそうでもなく、けっこういろんなことが起きてくれる。
刺激になって非常によい。
製薬会社の人
「MR、プロパーさんともいう」
自社製品の売り込みのために病院内にあちこちいる方々。
横暴なドクターの無理な要求にも我慢して堪え忍んでいらっしゃり、頭がさがる。
いろんな薬の説明をしてくれたりパンフレットをくれたり、説明会をして頂いたりする。
忘年会シーズンなどは彼らのスケジュールはいったいどうなってるんでしょう。
一人で一つの病院と言うよりは一� �で一地区の病院といった風にかなりの範囲があるはずである。
しかし、どうしてあんなにお薬についてくわしいのでしょう。
感心する。
セデーション
「鎮静剤などを使って鎮静(眠ったような状態、興奮を抑える)させること」
sedationという。
主に鎮静剤の注射を肩に筋肉注射するか、静脈注射をすることで効果を発揮する。
よく効く人には通常の1/4程度の量ですやすやとお休みになることもある。
抜群に効いた人には「眠っている間にカメラが終わった」ような印象らしい。
そして、中にはまったく効かない人がいる。
お酒のみの場合は効きにくい印象がある。
挿管(そうかん)
「気管の中にクダをいれて空気を入れる道を確保すること」
その後人工 呼吸器につないだりすることとなる。
研修医が是非マスターしたい手技の一つ。
しかし、失敗はすぐに患者さんの生命予後につながるために慎重かつスピーディーに。
多くの場合「食道挿管」といって食道にクダが入り胃の中に空気が入っていくということになる。
すんなり入れられるようになるには熟練を要する技である。
外直(そとちょく)
「自分の所属している病院以外の病院に当直、もしくは日勤当直に行くこと」
有床(入院患者さんのある医院、病院)は医者を常時待機させておかないといけない
法律のために、多くの個人病院では人手の多い大学病院などに当直医の派遣を依頼する。
外直に行くことによって、研修医や多くの無給ドクターは生活費を稼ぐのである。
(有給ドクターであってもいくのであるが・・・)
多いドクターになると週に3、4回も外直に行くかたもいらっしゃる。
大学当直以外にも行くわけで、その負担はけっこう大きい。
ただし、何もない病院のところを寝当直(ねとうちょく)というが、
そこは多くのドクターにとって睡眠を「確保」する貴重な場所なのである。
当直代の相場は平日2万〜4万といったところか。
土日の当直、日勤が絡むともっとペイはよくなる。
たとえば、日曜の朝から月曜の朝までだと5万〜8万くらいである。
また、救急病院だとさらに高くなるが、間違いなく寝ることはない。
しかし、外直で得られる経験も大変貴重なものである。
大学では偏った知識しか入ってこないが、いろんなことが学べて非常に有意義� ��ある。
タール便(たーるべん)
「まるで石炭の様な大便」
消化器内科で見逃してはならない徴候。
まず疑うのが胃潰瘍、十二指腸潰瘍などからの出血。
そして、この地方で非常に多いC型肝硬変による食道静脈瘤からの出血。
これがでて貧血が進んでいたらまずどこからか出血していることに間違いない。
そして、これをみたら研修医はすぐさまオーベンに連絡を取るとともに、
いろんな処置に追われることになる・・・
ちなみに大腸などからの出血の場合は比較的鮮やかな赤い血がでる。
注射(ちゅうしゃ)
「薬剤などを針を使って投与する方法」
その投与経由によって様々な呼び方がある。
筋肉注射(筋注)、皮下注射、皮内注射、静脈注射(静注)、動脈注射(動 注)
その他(関節、髄腔内)がある。
確保と言われるものは静脈にとるものをさす。
研修医にとって患者さんの信頼を得るのに一番有効な手段は
「注射がうまい!」ということだ。
しかも、肝心なのはその患者さんにする初めての注射なのだ。
それで患者さんの印象がほぼ決まるといっても過言ではない。
注腸造影(ちゅうちょうぞうえい)
「おしりからバリウムを入れて大腸を透視下に検査する方法」
barium enemaといい、BEと略するところもある。
おしりからチューブを挿入して浣腸するようにバリウムを入れていく。
その後、空気を入れて腸をふくらませ、ぐるぐる回転しながら撮影を続けていく。
お腹が張ったような感じと回転運動が意外にきつかったと言われることが多い。
腸閉塞(ちょうへいそく)
「腸管が何らかの原因で詰まってしまい機能しなくなる状態」
英語ではイレウスという。
原因は様々である。
腫瘍などの物理的な通過障害で起きることもあれば、
開腹手術に伴い腸管が癒着することで起きるイレウスもある。
ただ、ものすごい腹痛を伴うことと放っておくと命に関わると言うことは共通している。
治療は腸管の安静、大量の輸液、イレウスチューブの挿入など。
直入(ちょくにゅう)
「患者さんが一度も外来を通らずに入院してくること」
大きな病院は普通、他院からの紹介の患者さんを受け入れるわけであるが、
その際、一度外来を受診してその病院の"カルテ"なりIDカードを作ったりするのだが、
直入の場合は、そのまま病棟にあがってくるのである。
で、伝票とかオーダーとかはIDがないと発行できない。
つまり、入院の前にオーダーをしておくと言うことができないのである。
だから、病棟にあがってきて初めてバタバタし出すのである。
詰め所
「ナースステーションともいう」
病棟の中枢部ともなる場所。
一番えらそうなところは師長さんの机。
時間によっては詰め所に看護婦さんも医者もいないもぬけの殻と なっていることもある。
逆に時間にとっては看護婦さんであふれていると言うこともある。
患者さんが苦情を言いにきたり、お見舞いの人が最初に訪れる場所である。
連れて行く
「連続して患者さんがお亡くなりになること」
不思議なものである。
何人もやばい状態の患者さんが病棟に重なる時期がある。
そして、どういうわけか一人がなくなると次々と亡くなるのである。
そういうときにこの表現を使う。
ティちゃん先生
「同じ科の同期。放射線科のローテーションは同じ時期にまわった」
大学院生なので他の人よりも一足先にローテーションは終わる。
なかなか爆裂なキャラで、みんなから愛されるタイプである。
酎ハイ半分でできあがってしまって� �非常におもしろい発言をするので
みんなから飲まされる。
しかし、非常に頭がよい。
デニス
「デニスチューブ (商品名)のこと。イレウス管という」
腸閉塞のことをイレウスと言うわけであるが、このデニスチューブを入れることで治療を試みる。
鼻から挿入して小腸付近まで持っていく。
イレウスの改善に伴ってドンドン大腸に向かって先進していく。
ただ、患者さんにとっては鼻からチューブを入れられるわけでたまったもんじゃない。
しかも、何日と入れておくのである・・・
電解質
「体の中のイオンのこと」
一般的に電解質は?と聞かれたら・・・
「Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Cl(塩素)」のことをさすことが多い。
その他にはCa(カルシウム)、P(リン)、Mg(マグネシウム)などもある。
状態が悪くなってくると特に気になる電解質はKである。
あがりすぎても、下がりすぎて も致死的な不整脈の原因となるからである。
最後はカリウムとの戦いになるといっても過言ではない。
ドアノブコメント
「部屋をでる、その直前、思い出したように語られる訴えや病歴」
もしくは「他になにかありませんか?」と最後に聞いたときのコメント。
思いがけず重要な情報が含まれることが多い。
言いたいことを話している途中で忘れてしまった、と言うことは日常よくあることである。
(一通りの診察が終わった後)
医 「他に何かありませんか?」
患 「そうですね、子供が受験に失敗したことが気になりますね・・・」
医 「そうなんですか(ストレスが原因で胃を悪くしたのかな?)」
透視(とうし)
「通常、上部消化管造影検査のことを指す」
けがのどのカテゴリが完全断裂です。
バリウムをのむあれである。
会社の健康診断なんかでもあるだろう。
白い液体を飲んで台の上でぐるぐるとまわるやつである。
医師や技師が患者さんのそばにいて直接触ったりしながら撮影するのを「近撮」
一枚隔てた向こうから「はい、時計回りに2回半まわって」とかいうのを「遠撮」
といったりもする。当然、一緒に部屋に入る方が放射線への被曝は多い。
だいたい、ルーチンの取り方はほとんどの人一緒であるが、
10回やって10回とも違う順番で撮っているのに、きちんととれているという凄腕の持ち主もいる。
※バリウムを使えない患者さんなどにはバリウムのかわりにガストログラフィンという造� �剤を使う。
略して、ガストロ造影という。
動注(どうちゅう)
「動注化学療法の略」
動脈に抗癌剤や抗生物質などの治療目的の薬剤を注入する方法。
範囲の限られた病変に対してお薬を流すのに有効な方法である。
全身投与に比べて副作用の出現が少ないと言われている。
うちの科では肝臓癌に対する動注が盛んであり、いろんな患者さんに行われている。
動注の針刺しがスムーズにこなせないと仕事にかなりの支障をきたす。
当直表(とうちょくひょう)
「シフト表」
大学当直、注射係、外当直などを書いてある表。
これを作製するにはけっこうな労力がいるのであるが、
完成させた後も労力がいる。
かなり文句が言われたりするのである。
そし て、できるだけプライベートを確保するために画策にはしるのである、みんな。
こっちのみにもなってくれよ。
特発性細菌性腹膜炎
「肝硬変腹水の重篤な合併症」
英語ではSpontaneous bacterial peritonitis、略してSBPという。
有腹水患者の1割から2割の患者さんに合併し肝腎症候群、DIC、敗血症などを
併発するきわめて予後不良の病気。
一般的な腹膜炎症状を示さないこともあり、注意深い観察が必要。
致死率が高いために早期診断、治療が重要な決めて。
腹水中の好中球の数などで診断をする。
吐血(とけつ)
「血を吐くこと」
消化器内科でとくに緊急を要する病態の一つ。
肝硬変を合併している方であれば圧倒的に「食道静脈瘤」からの出血が多い。
まれに「胃静脈瘤」であったりするのだが。
そして、もう一つ「胃潰瘍」からの出血。
まれに「十二指腸潰瘍」からの出血もあるが、これは吐血よりも下血の方が多い。
そして、吐血の患者さんを診た瞬間に� �修医がやることは、
胃管をいれて胃の中を洗うのである。
洗うとは胃管からお水 (生理食塩水)をじゃんじゃんいれて、じゃんじゃん引く。
もし、お腹の中や食道で出血していれば血のかたまりや血がよくひけるのである。
そうすることが初期治療にもなる。(冷水で血管がきゅっとしまるから)
こうやって対応しているうちにまわりが上級の先生に連絡をしたり家族に連絡をしたり、
内
nadir(なでぃあ)
「単語の意味はどん底という意味」
抗癌剤を使うとガン細胞ばかりでなく正常の細胞も破壊される。
その正常の細胞の中で血液を作る骨髄細胞を破壊されると正常の造血ができなくなる。
赤血球がへり貧血、白血球がへりばい菌にかかりやすくなり、血小板が減ると血が止まらなくなる。
その間はいろんなコトが起きる可能性があるので、造血能が回復するまでお祈� ��の毎日である。
内視鏡的膵胆管造影(ないしきょうてきすいたんかんぞうえい)
「内視鏡を挿入後、膵管や胆管を造影する診断のための検査」
英語ではendoscopic retrograde cholangiopancreatography、略してERCP。
胆石と腫瘍との鑑別、狭窄部位の形態範囲の判定に重要な役割を果たす。
ラパコレの術前検査では必要。ERCPを応用して減黄を試みたりする手技もある。
ERCPの主な合併症は急性膵炎であり、きちんとした管理が必要になってくる。
内視鏡的粘膜切除術(ないしきょうてきねんまくせつじょじゅつ)
「内視鏡を使い腫瘍、癌などを切除する方法」
英語ではendoscopic mucosal resection、略してEMR。
早期胃癌、大腸ポリープなどはこの方法で切除される。
手術に比べ傷も少なく、手術後の回復も早いことから短期入院となる。
切除したものを顕微鏡でみて病理学的な診断がついてはじめて治療完了となる。
これを診断的治療を兼ねたEMRともいう。
これで残存病変があったり、予想以上に進行していた場合には手術になることもある。
日勤(にっきん)
「朝9時〜5時までの業務のこと」
しかし、大学病院に勤めている人のいう日勤日は
大学以外の病院で働いて日銭を稼ぐことを言う。
だいたい、週に1,2日の日勤日が認められていることが多い。
ほとんどは医局が「あなたはここにいきなさい」みたいな告示がされる。
上級の先生になると日勤日に� ��自宅出張」をすることがある。
これは将来の開業に備えて親の病院を手伝ったりするのである。
ちなみに研修医が日勤先としていくところは
工場の診療所であったり、自衛隊の診療所であったりする。
こういうところで「風邪薬」や「高血圧の薬」など
ごくごく一般的お薬の使い方を学ぶのである。
また、いろんな手技(胃カメラや透視など)の経験をつむのもこういうところでである。
日当(にっとう)
「日勤と当直を連続で行うこと」
だいたい朝9時から次の日の朝9時までの勤務を指す。
つまり24時間勤務と言うことである。
しかし、たいていの場合このあと普通に仕事があるのでけっきょく36時間勤務を意味する。
当直をして次の日の日勤帯までいることを「当日(とうにち� �」という。
さらにヘビーな組み合わせとして「当日当とうにっとう)」
harvest(はーべすと)
「収穫という意味」
この場合、骨髄移植用の幹細胞(大事な細胞)をとるコトを指す。
ボディーチューブは基本的にはIVHと同じであるが、この場合は太いチューブを入れる。
(安定して大量の血液を抜いたり、体内に戻したりできるように)
実際は成分献血と同じ原理である。
必要な細胞だけとった後は残りの血液は体に返却する。
ただし、1度のハーベストで10リットル近い血液を回すので3時間くらいかかる。
陪席(ばいせき)
「外来のアシスタント」
教授とか助教授とかいわゆるお偉い先生の外来には横にちょこんと座ってる人がいる。
この人たちは伝票をきっ たり、処方を(先読みして)出したり、
紹介状のお返事の代筆をしたりといわゆる「雑用」をする。
しかし、これは実はとても勉強になるのだ。
先輩ドクターがどんなことをかんがえてその処方をだしたり、検査するのかを「盗む」場でもある。
初射会(はつしゃかい)
「弓道で一年で最初の弓のお稽古の日」
お正月あけてすぐ行われることが多い。
花的といい、花札の絵札をデザインした的にめがけて行うことが多い。
それを射抜いた人がその的をもらえる。
普段のより遙かに小さな的のため、なかなか的中しない。
寒いのでお酒を飲みながらやることもあり、ますますねらいが定まらない。
非確率的影響(ひかくりつてきえいきょう)
「放射線の影響でこれ以下の� �の被爆では影響がないもの」
しきい線量(被爆量)が存在すると考えられている影響のことだ。
しきい線量を超えた場合に影響が現れ、線量の増加とともに影響の発生確率が急激に増加し、
また、副作用の重傷度も増加する。
ある線量に達すると被曝したすべての人に影響があらわれてしまう。
(ここが確率的影響と大きな違い)
確率的影響以外の影響はすべてこれに区分されてしまう。
皮膚障害、白内障などがこれに当てはまる。
確定的影響ともいう。
人を集めて
「緊急事態や急変時の必須事項」
まずは人手である。
特に夜間帯など人手が少ないときには方々からかき集めるのである。
あちこちに走り回ってもらう人、力仕事をしてもらう人など、とりあえず集める。
とても大切な手技の一つ。
被爆(ひばく)
「この場合は放射線を浴びること」
医療の中で放射線を使って検査することはかなりある。
胸のレントゲンから始まって、CTや透視などもそうである。
検査だけでなく治療中にも放射線を使いながら透視下で治療することもある。
そういったとき患者さんももちろんだが検査や治療をする人も被爆するのである。
そういった検査や治療が1日に何例もある時はさすがに被爆の量がふえる。
いくらプロテクターをしているとはいえ、全身を覆っているわけでもない。
病棟実習(びょうとうじっしゅう)
「医学部5,6年生で行われる臨床実習」
うちの大学ではBSL(bed side learning)とCCS(clinical clerkship)される。
BSLだと全科を2週間ずつ1年かけてまわる。で、これは5年生である。
CCSは希望の科を1ヶ月ずつ4つほどまわる。これは6年生で行われる。
そして、それを直接指導するのは研修医が多い。
けっきょく歳の近い白衣がぞろぞろと群れをなすのである。
大学病院を受診したり、入院したりすると分かるが、
これらの学生君たちがぞろぞろといるのである。
教授回診だと教授のまわり。
外来だと問診とったりしている。
患者さんたちが「見せ物」と言われるゆえんである。
これは大学病院の特徴でもある。
ただし、こういったことをして欲しくない患者さんははっきりと断ることができる。
病理解剖(びょうりかいぼう)
「剖検ともいう」
英語でいうとdissection。俗語では「ゼクション」という。
死因をはっきりさせるために行うことが多い。
一昔前はCT、MRIなどの画像診断がそれほどはっきりしていなかった時代は、
原因不明ということでよく解剖されていたようだ。
しかし、最近は画像診断の発達、その他の医療検査の発達などから生存中に診断がつくケースが多い。
それでも、大学病院などの施設ではよりはっきり死因を同定するために行う。
そして、年何例以上、全死亡患者数に占める剖検の割合がある程度以上じゃないと
「特定機能病院」に認めない、なんてよくわからない決まりがあるのでがんばってお願いすることもある。
また、内科認定医などの試験の条件に「剖検例何例必要」とかいうこともある・・・
ビリルビン
「ヘモグロビン� �肝臓で処理されて生成される物質」
肝臓を通って腸管から排泄(便の色)されたり、尿中に排泄されたり、再吸収され再利用されて利する物質。
血中濃度が増加すると皮膚が黄色くなる(黄疸)が認められる。
みかんを食べ過ぎて黄色くなるのとはまた違う病態。
肝臓の予備の力を示す指標の一つ。
ファイルメーカー
「代表的なデータベースソフト」
医療系では昔からこのソフトでデータベスを作ることが多く、
その資産(過去のデータなど)は代々引き継がれていく。
最近ではExcelやAccessなどで作る場合も増えてきたが、圧倒的にファイルメーカーが多い。
患者サマリーから論文用のデータ、紹介状や診断書のひな形まで
各種色々なデータベスがあり、なくてはならいソフトの一つ。< br/>しかし、十分に機能を使いこなすのには非常に勉強が必要(専門書が少ない)。
ほとんどの人が独学か周りに聞いて何となく使い方を覚えることが多い。
腹腔穿刺(ふくくうせんし)
「腹腔(お腹の中)に針を刺して水を抜いたりお薬を入れたりする手技」
腹穿と略する。
主に腹水がたまった患者さんの息苦しさなどの症状緩和、
腹水の性質を調べるために行われることが多い。
特に肝硬変の患者さんは腹水がたまりやすく、研修医がまず覚えないといけない手技の一つ。
お腹に針を突き刺すため、最初はかなりの抵抗があるが、
実際はエコーで安全な場所を確認して行うためよほどのことがないかぎり失敗はない。
かつて一度だけどういうわけか便を引きあてた研修医を目撃� �たことがある。
腹腔動脈(ふくくうどうみゃく)
「腹大動脈からでる動脈幹」
celiac trunkが正式名称。ただし、現場ではceliac artery、略してCAということがほとんど。
左胃動脈、総肝動脈、脾動脈に分岐する。
肝癌の治療や検査で大事なのは、もちろん総肝動脈以降の血管である。
腹単(ふくたん)
「腹部単純X線写真の略」
KUBとほぼ同義語。
見たくない所見としてneveau(ニボー)がある。
副直(ふくちょく)
「5年目以上の指導医で当直の先生」
大学病院の場合、研修医が1〜2名で当直することが多い。
しかし、急変の時など圧倒的な経験不足の研修医では判断に困ることが多々ある。
そういったときのため、当直時間帯の責任者の意味も込めてたいていの場合には
副直の先生が一緒に当直することが多い。
基本的には一緒に寝泊まりしてくれるのが多いのであるが、
中には「なん� �あったらよんで」といって帰られてしまう先生もいる。
そういうときに困ったことが起きる確率が高いような気がするのだが・・・
浮腫(ふしゅ)
「細胞と細胞の間に水分が貯留する状態」
「むくむ」とか「えでまっている」という。
浮腫を英語でいうと"edematous"という。
それを日本語的にいって「えでまっている」というのである。
ちなみに簡単に診る方法として、すねを指でぎゅっとしばらく押してみるのである。
指を離した後にも痕がのこるのが圧痕を残すといって浮腫がある証明にもなる。
原因としては体中の水が増えた状態か、
アルブミンという蛋白質が減少した状態である。
不定愁訴(ふていしゅうそ)
「いまいちはっきりとしない漠然とした訴え」< /p>
多くは背景に精神的な問題、不安や重大な病気が隠れていることも。
なんだか要領をえず、いろんな症状を訴えることが多い。
話すことでだいぶすっきりされる方もいるが、こちらの対応がまずいとかなりこじれる。
ゆっくり話を聞きたいのだが、ついつい話を遮ってしまうことも。
(話があっちいったり、こっちいったりするから)
プレゼンテーション(ぷれぜんてーしょん)
「症例などをみんなの前で発表すること。プレゼン」
これは頻繁に行われる行為である。
病棟カンファランス、症例検討会、教授回診、学会発表・・・
要するに患者さんのことを要約して、相手に伝える技術が問われるのであるが、
プレゼンを中心に病棟業務が� ��転しているといっても過言ではない。
プレゼンの技術の未熟なものはそれだけで「できないヤツ」として扱われてしまう。
逆にプレゼンがあまりにも堂々として立派な場合は多少のミスがあっても許される。
研修医が最初に身につけなければならない大事な技術のひとつ。
肝腎なことは勢いである。
多少ろれつが回らずとも堂々と勢いに任せてプレゼンするのがよい。
そして、根拠のない自信。これが一番大事である。
ちなみに教授回診の時にも当然プレゼンが行われるのだが、
患者さんの枕元で主治医が教授に向かってプレゼンをする。
「赤の他人さん25歳男性、えいちしーしーの患者さんで3年前にてぃーえーいーをされましたが、
えすよんにりかれんすを認めまして、りざーばー目的で� �回入院となったかたです」
と、逆に患者さんが不安になるように略号、英語を多用して行われる。
一部の単語に至ってはドイツ語であったりするので、ますます不安になる。
この不安が、「自分は大変な病気なんじゃないのか」という気持ちに火をつけることもある。
PEIT(ぺいと)
「経皮的エタノール局注療法の略」
肝癌、特に初期の肝癌の標準的な治療法のひとつ。
体の表面から肝癌目指してエコーを見ながら針を刺す。
そして、そこから90%くらいのエタノールを注入。
ガン細胞が一瞬で死んでしまうという治療。
ヘパカン
「ヘパトーマ(肝臓腫瘍)に関するカンファランス」
毎週木曜日の午後5時頃よりおもむろに始まるカンファランス。
入院中の肝臓� ��の患者さんの検査や治療方針を決める会議。
100人入院していたら50人くらいはこの患者さんなのでほぼメインのカンファランス。
エコーを使った経皮的治療グループと血管造影を使ったIVRグループの対決の場でもある。
このカンファランスを初めて経験するローテーションの先生やBSLの学生さんはたいていが青ざめる。
なれればかなりの勉強と楽しめるカンファランスである。
その昔、ローテーションの先生は初日に必ず泣かされていたという話もあるくらい恐いカンファ。
ヘモグロビン
「赤血球中の酸素運搬を行う重要なタンパク質」
英語ではhemoglobinと書き、略してHbと記載される。日本語では血色素。
カンファランスなどではなぜかドイツ語読みで「は〜ベ〜」と言ったりする。
中に鉄を含有しているために、鉄分が欠乏してくるとHbの低下を認める。
なお、女性に多い貧血はほとんどが鉄欠乏性貧血である。
基準値は男性14〜18g/dl、女性12〜16g/dl。
防護バッジ(ぼうごばっじ)
「その月にどれくらい放射線に被曝したかを測定するフィルムバッジ」
放射線作業従事者には着用が義務づけられている。
放射線作業中は防護服を着るのだが、その内側と外側にそれぞれ装着する。
内側は生殖器を含めた部分の被爆量、外側は水晶体や皮膚などへの被爆量に相対する。
毎月かなりの量を被爆しているはずだが、未だに一度も何も言われたことはない。
保証人会(ほしょうにんかい)
「学内で面倒みてくれる担任の教授とのお食事会」
いわゆるゼミ� �は少し違う。
各学年3人ずつくらい、計20人前後の会である。
保証人会以外でこのメンツで集まると言うことはまずない。
ただ、顔とかおぼえたりするので部活の先輩・後輩以外にも知り合いが増えるというのはいい。
やはり教授によって力のある、なしがかなりあるらしく、
ついた教授によって留年率がかわったりするという。
干される(ほされる)
「患者さんを割り当てられなかったりして、すごく暇になること」
要するに飼い殺しの状態である。
干される対象は、すごいミスを繰り返して危なっかしいか
やる気が見られない人がそうされることがある。
逆に患者さんの数が膨大になったり、容態が悪くなったりすると
温情で患者さんの数が減らされたりもする。
< b>mass(ます)
「腫瘍のこと」
ある一定の固まりを腫瘤という。
良性であり悪性であり腫瘍性病変は画像上massとしてみつかる。
それが悪性かどうかは諸検査をすすめていくうちにはっきりとしていく。
1センチ程度だと良性のことが多いが、3センチを超えてくると悪性のことが多い。
悪性はできるだけ小さいうちで見つけるのが肝要である。
マリグナンシー
「malignancy、悪性という意味」
回診などの時に使う。
一般的にマリグナンシーと言えば「癌」のことをさす。
たとえ告知をしている患者さんでも、目のまであまりにも「癌、癌、癌」と言われるとそれはイヤなものだ。
逆に嘘の病名で話をしている人に対しても絶対に「癌」とは言えない。
大切な言葉であ る。
申し送り(もうしおくり)
「患者さんの経過、状態などを他者に伝えること」
看護婦さんたちは勤務交代時間にみなさん集まってやっている。
医師の場合の申し送りは口頭でやることもあるが、時間的にすれ違うことが多く、
多くはカルテに書いておくことが多い。
しかし、自分が伝えたいことが100%と伝わらないのが常。
すごく詳しく書いてある方もいれば、「うん??」という場合もある。
微妙なニュアンスを伝えることは難しい。
元の科(もとのか)
「消化器内科のこと。地域的に肝臓疾患のメッカとして知られる」
消化器内科とは食道・胃・小腸・大腸の消化管と肝・胆・膵の臓器をみるとこである。
それとなぜか血液疾患(白血病とか貧血とか)や� ��原病(リウマチとかSLEとか)もある。
医局員は200人を超すというマンモス医局。
診断のために検査を含め、治療を行っていく。
山本美絵(やまもとみえ)
「CDの帯には"トラウマ系歌姫"とかかれている」
その強烈な個性と詩、楽曲で赤の他人は一網打尽にされた。
研修医期間中は彼女の音楽と共にすぎていったと言っても過言ではない。
あの凍てつく様な背筋の凍るライブは今後、他のアーティストでは味わえない快感である。
彼女のやりたい音楽と商業音楽とのギャップによって作品が世に排出されていない。
惜しむらくは、その才能に再び触れたいと深く願うのである。
ラシックス
「ループ系利尿薬の一つ。おそらく一番使われているだろう利尿剤」
一� ��名はフロセミド。
飲み薬も注射薬もある。
肝硬変の人にはけっこう使われるケースが多い。
副作用が比較的少なく、即効性もあることから汎用される。
名前の由来は作用時間が6(シックス)時間というところから来ているらしいが、そんなに長持つ印象はない。
注射の場合、一回1アンプルずつ使い始めるが、最終的には一日に10アンプル使うこともまれではない。
ラパコレ
「腹腔鏡下胆嚢摘出術のこと」
胆石などの場合、発作を繰り返したり数が多かったりしたら適応になる。
以前はがばっとお腹を切り開いてとる大手術のような感じであったが、
現在では特に合併症などなければ3センチほどの傷を3カ所あける、ラパコレが選択される。
当然、入院期間の短縮にもなり、� �跡も目立たない。
リカバリー(りかばりー)
「集中治療室を想像下さい。だいたい看護婦さんの詰め所のそばにあります」
当然、重症の患者さんがここにはいる。
「リカバリー持ち」というとリカバリーに患者さんを抱えている状態である。
こまめに状態をチェックしたり、データを読んだり、指示を出したり、
それはそれは大変な状態である。
一人で二人も三人も受け持つようになると、もう大変である。
まず家に帰れなくなる。
しかし、それを切り抜けたあとの充実感と
その後のなんとなく虚脱した感じはなんともいえない。
張りつめた緊張がとぎれるとだらーんとなるもんである。
いろんな先生があれこれと好き勝手に指示を出していき、
その指示の板挟みに あうのもつらいところである。
どれがホントに必要なことなのか見極める目が必要である。
リザーバー
「動注をするために体に埋め込んでおく注入装置のこと」
肝臓の治療の場合、多くは「皮下埋め込み型reservoirという。
体にカテーテルというストロー状のものを目的の血管のところに留置して
右の股の下、左の肘のところなどに注入装置の入り口をつくる。
そこから針を刺して動注を継続的に行っていく。
うちの科では留置から治療まで一貫して自分のところで行うが、
施設によっては血管造影から留置は放射線科、皮膚の縫合は外科、
治療は内科といった完全分業で行われるところもある。
レート
「脈拍のこと」
英語でrateから来ている。
脈拍はpulseと� �されることもあり、rateは毎分何回かということを示す。
レジメ
「Regimenの略」
医学の世界では治療の計画とかお薬の投与量のことをいう。
体重あたり何mgを何日間投与するなど病気ごとに一定のきまりがある。
(どの施設でも同じような治療をするためであったり、比較研究のためであったり)
VCR(抗癌剤の種類)を100mg/m2を1日2回投与5日間、などと記載される。
よく抗癌剤の投与ミスの報道があるが、このレジメの計算ミスであることも多い。
mgをg(1000倍)と見間違えたりといったことで起きるのである。
ふつうは2重、3重のチェックが行われるわけであるが、どうしてそういうミスが起きてしまうのが謎である。
レセプト
「保険診療報酬の明細」
その月にどんな病名でどんな検査と治療をしたということを
事細かに書かないといけない。
そうしないと保険側から患者負担(3割)分以外の7割分が入ってこない。
保険的に認められていない薬を使ったり、過剰な検査をしたりすると「削られる」。
つまり、お金が支払われない。
これでは病院経営は成り立たない。
そこで、いろんな説明(いいわけ)を書いておくるのだ。
これが月末から月頭にかけての重要な(面倒くさい)作業の一つである。
レトロスペクティブ
「(時間の流れとして)さかのぼって観察すると」
臨床治験をやる際に今の時点から昔をさかのぼって(レトロスペクティブ)どうだったのかを研究するのと、
将来に向かって(プロスペクティブ)どうなるか観察をする方法が� �る。
たとえば胃潰瘍に対してAとBの薬どちらが有効かという研究をする場合。
レトロ AとBの使用状況を昔にさかのぼってカルテなどを参考に研究する。
プロ 患者さんを二つの群に分けて、Aを使うグループ、Bを使うグループとわけて
効果がどうだったかを1年後などある一定の期間で評価する方法。
より信憑性が高いのはプロスペクティブである。
練習台(れんしゅうだい)
「本番を想定して、楽勝な相手に向かって特訓すること」
教科書にはやり方は載っている。
しかし、ホンモノの人間に実際針を刺したり、カメラを入れたりするのはやはり違う。
いきなり本番だと失敗する可能性もある。
ということで新しい手技をするときなどは人形を相手に練習をしたり、
研修医同士(時に学生さんが生け贄になる)で針を刺しあったりするのだ。
といってもやはり生身の人間に最初にトライするときは緊張するものである。
ローテーション(ろーてーしょん)
「回転、循環。研修医にとってはいろんな科を� �わること」
各施設によってそのシステムはバラバラである。
うちの大学の内科だけみても2つのローテーションシステムが存在するくらいであるから。
まずはストレート方式。
これは所属する科で半年〜1年研修をしたあとに希望する科に研修医に出る体制である。
皮膚科や眼科など内科じゃないところでもこういう体制をとるところもある。
昔から日本で行われている形式である。
次にスーパーローテート方式。
これは内科医に入局しようとメジャー科をすべてまわるという方式。
つまり、内科、外科、産婦人科、小児科、救急救命など。
平成16年くらいから予定されている研修システムの義務化はこの形式がほとんどであろう。
ひとつのところを3ヶ月とものすごく短い期間でま わることになり、
その成果については疑問視をする声もある。
大学病院のようにまれな疾患を中心にみる病院では、
スーパーローテートの魅力は半減するであろう。
そもそも、全身をみることのできる医者(プライマリーケアという)
を養成するためのシステムである。
それだったら、市中病院などでこういう経験を多く積むほうが有意義のような気がする。
現在、試行錯誤、混乱の最中にある。
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